局所性浮腫と疾患
1、下腿浮腫
(1)静脈性浮腫
静脈潅流障害による姿勢圧上昇によるもので殆ど下肢に出現する。下肢の静脈潅流は、静脈弁により、逆流防止作用と、下腿の筋肉ポンプ作用によって維持されている為、、両作用が低下している高齢者では、静脈性浮腫の頻度が高い。深部静脈血栓症は、急性の有痛性浮腫を特徴とし、腓腹筋の把握痛が著明となる。ほとんどが片側下腿に発症し、鬱血による発赤や表在静脈怒脹を伴うことが多い。危険因子として長期臥床、脱水、悪性腫瘍、外傷などがあり、高齢者に多い疾患である。重篤な合併症として肺塞栓症を起こすことがあり注意が必要である。左下肢の頻度は右下肢の頻度の倍であり、これは左総腸骨静脈が右総腸骨静脈によって圧迫を受けており血流の停滞がおきやすいためと考えられている。確定診断には、ドップラーエコーや静脈造影が有用である。慢性静脈血行不全では、深部静脈血栓症の後遺症として残ることが多いが、高齢者では深部静脈の弁不全が原因となることが多い。前述の総腸骨静脈の圧迫、また骨盤内腫瘍による圧迫が原因で起こることがあるため注意が必要である。部位は左下肢が多いが、右下肢や両側性にも見られる。持続的な静脈圧上昇によって、二次性静脈瘤を形成し、色素沈着、湿疹、潰瘍などの変化が現れる。確定診断には、エコーや静脈造影のほか、脈波法による筋肉ポンプ作用の評価が有用である。静脈瘤は、下肢の表在静脈が拡張、屈曲、蛇行した状態であり、浮腫を伴うことがある。両側下腿に存在することが多い。静脈瘤による浮腫はその形状から診断は容易である。下半身全体の腫脹と静脈怒脹を認めたときは下大静脈症候群を疑う。腫瘍による下大静脈の圧迫や血栓症が原因であり、両側性の慢性静脈血行不全と似た症状を示す。
(2)リンパ性浮腫
リンパ性浮腫はリンパ管の奇形や閉塞によりリンパ液の鬱滞が原因となっておこる。通常は無痛性である。浮腫は足背を含む下肢遠位側から始まり、徐々に近位側に進行することが多い。初期には指圧痕を示すが、徐々にスポンジ状のかたさになり指圧痕はわからなくなる。皮膚は肥厚して硬くなるが、色素沈着や潰瘍は通常みられない。高齢者では殆どが二次性であり、リンパ節廓清術や、放射線照射によるリンパ流の障害による。
前立腺癌、子宮癌、卵巣癌、悪性リンパ腫などの悪性腫瘍のリンパ節転移や浸潤が原因となる為、注意すべきである。片側性が多いが、高齢者ではしばしば両側性となる。リンパ管造影や、放射性同位元素をもちいた確定診断が有用である。
(3)炎症性浮腫
腓腹筋断裂や、軟部組織損傷などの外傷、蜂窩織炎や骨髄炎等の感染症、熱証、接触性皮膚炎によって浮腫が出現する。発赤や疼痛を伴い診断は容易である。少し特殊な病態であるが、骨折、創傷、放射線治療、手術などの既往があり激しい傷みと著明な浮腫を認めた場合コンパートメント症候群を疑う。強固な筋膜で区分された間隙すなわちコンパートメント内の組織圧が上昇し筋肉や神経の循環不全を生じた状態である。筋組織の絵師によって、クレアチニンキナーゼ、乳酸デヒドロゲナーゼ、グルタミン酸オキザロ酢酸トランスアミナーゼが上昇しミオグロビン尿を呈する。早期診断と処置が必要である為忘れてはならない疾患である。
(4)リビデーマ
著明な両側性下腿浮腫をきたす疾患にリビデーマといわれる脂肪異常栄養症がある。慢性的に進行する大腿部からかかとにかけの腫脹が特徴であり足背部を含まないことが多い。下腿を挙上しても浮腫は軽減せず圧痛を伴うことがありしばしば家族性に発症する。
2、上肢顔面の浮腫
下肢の浮腫に比べまれである。顔面の腫脹、両側上肢腫脹、頚静脈怒脹を認めたときは、上大静脈症候群を疑うべきである。頭痛、胸苦しさ、眼球突出をきたすことがある。上大静脈の圧迫の原因としては、肺がん、甲状腺癌、胸腺癌等悪性腫瘍が多い。白く柔らかい浮腫が眼瞼、口唇等に急性に発症した場合に、クインケ浮腫を考える。通常、数時間から数日で消失する。遺伝性血管性神経性浮腫は、クインケ浮腫に似ているが、声門水腫等を合併し症状が重い。頚静脈怒脹の無い上肢の浮腫は、胸郭出口部の閉塞や、静脈血栓症リンパ性浮腫などを考慮する。慢性腎不全の、維持透析療法の為の動静脈シャントを前腕に作成するが、シャント率が高い場合に片側上肢の浮腫を認めることがある。上肢のリンパ性浮腫は、乳がんの根治術後に見られることが多い。
高齢者の浮腫は、日常診療において、遭遇する頻度が高い所見であり、その原因は多種多様である。実際に鍼灸按摩マッサージ指圧をやってますと、直接皮膚に触れない時は気づかないことが多いですが患者さんの身体、、特に、下肢については触れることがありますと圧痕が残るというような所見を得ることがあります。浮腫の原因は多岐に渡っておりますので、単純に高齢者なので心臓の問題とはかたずけずに、長いこと続けていても浮腫が減らないという場合には、理学的所見では最終的には判断がつかない場合がありますので、、もしそこに、危惧を考えるのであれば、一度内科のほうにみてもらうことが必要だと思います。
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