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2006年7月15日 (土)

慢性疼痛

一般に慢性疼痛といいますと、急性の疼痛が時間的に長く続いているというようなイメージで従来捉えられてきたわけですが、これが考え方として違っているのではないかということが叫ばれ、そしてその裏付けになるような事実が出てきた。
慢性疼痛は急性疼痛が長時間続いている痛みのものではなく、原因となっているものがなくなると普通であれば痛みはなくなることが神経系の特徴であったが、実際には慢性疼痛は原因となるものがなくなっても痛みとして患者さん本人の体の中に残っている。それは、うそを言っているわけではなく、大袈裟に言っている訳でもなく、痛みとしてはやはり存在しているというようなことから以下のような考えがでてきた。
痛みを受けると痛みをあちこちに伝える。大脳に伝えると痛いという感覚が起きるし、自律神経に伝わると脈が速くなったり汗が出たり免疫系にも作用したり内分泌系にも作用したりいろいろな反応を起こしているわけですが、そういった反応を統括しているのはやはり神経系のネットワークで、体の中にあるネットワークが痛みがあるために痛みを感じるような形でのネットワークを作ってしまい固定化されてしまうもので、原因となるものがなくなっているけれども、体の中では騒ぎがそのまま残っているようになるということです。(可塑的な仕組み)
分子生物学的神経系の中で行き来する生理活性物質というものがわかってきたし、細胞の中でのいろいろな情報伝達する遺伝子にかかわっている特異的なものが慢性疼痛のときに出てきて次から次へと痛みを伝えていくので長時間痛みを感じる。
神経系というのは一生涯可塑性的ではないと思われてきましたが、実際は、可塑性があるとわかってきたのです。
これをネットワークの歪と考え、もどす為には、整形外科的な問題はもちろん、それ以外に自律神経的な問題、内分泌系の問題、免疫系の問題、心や精神の問題、人間の機能全般をうまく是正して行くのが慢性疼痛の治療であるということがわかってきた。
東洋医学はもともとそういうものをやってきたが、その機序や本体のことについてはまったくわかっていなかったのですが、ここ20年くらいの間に、慢性疼痛の研究が進みまして、分子生物学的なレベルの研究遺伝子レベルの研究から慢性疼痛というものを人間全体の機能の是正という中で考えていかなければならないということが自然科学的なレベルでわかったということです。
東洋医学的な鍼治療のように神経にまた刺激を加えることでネットワークを是正するという治療価値は今以上に出てくるだろうと思います。
全人的な治療というのは、同時に胃の治療もします、腰痛の治療もします、歯痛の治療もします、肩こりの治療もします、患者さんの訴えている自覚症状全部を治療して全人的治療と呼んでいる側面がありますが、鍼灸の世界ではありがちですがそういう意味ではありません。
そして鍼灸治療というものが、刺激をしていく、そしてそれを感覚神経が受け取っていくと考えていく場合は、感覚神経に加えられた刺激によって、人間の身体の調節系というものが影響を受ける、それが、脳神経であったり自律神経であったり免疫系であったりホルモン系であったりするわけで、人間の調節系への治療というものが鍼灸の場合大変大きな意味を持っている。
この辺の研究はまだまだで、免疫系の日内変動なのか、鍼による効果なのか、何もしないときとの比較、また、明らかに効いた例も、50例100例と集めていくとバラつきが出てくる、一定の方向性を持った免疫系への働きかけについては、まだ科学的にわかっていないのが現状です。
こういったところの研究がますます進むことによって、本当の意味での全人的な医療の中での鍼灸マッサージの価値というものが出てくるだろうと思われます。
病名別の治療ではなく個人にあった治療、針の治療というのは大変個体差が大きいと昔から言われている。
個体差の特徴を見つけるためのメルクマールがまだ見つかっておりません。結痂を見ると効果があったりなかったり、悪くなったりという例がある。それでは、効果があった人の特性があるかどうかの研究はまだ少ない。20~30年前から代わっていない、今後鍼灸の本質を見つけ出すような研究が必要です。

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