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2007年5月 9日 (水)

椎間関節ブロック

椎間関節ブロックとは、椎間関節症あるいは椎間関節障害と呼ばれる病態の治療に用いられるX線透視下で行われるブロックです。椎間関節は関節自体が小さく単純X線の所見だけで診断することが難しい為造営所見や薬液注入時の放散痛による機能的診断などの目的で行われることも少なくありません。
椎間関節症は、椎間関節に一致して圧痛を示すことが多く当該椎間の揺さぶり振動による疼痛の出現や後屈による疼痛を生じる場合がありますが神経学的所見は一般に正常なことが多いです。
また椎間関節の疼痛は背側の支持組織である椎間関節のひずみにより生じた痛みでありますが関節に一致する圧痛だけでなく一定の部位に痛みが放散されることも特徴として見られます。
椎間関節は上位椎骨の下関節突起と、下位椎骨の上関節突起により関節面が形成されています。しかしその微細な構造には頚椎胸椎腰椎で少し違いが見られます。
頚椎部の特徴としては環椎軸椎を除く一般的な頚椎の椎間関節では前方から見ると外側下方に傾き側方から見た場合はやや後方に傾斜しているのが一般的です。この傾斜は下位頚椎に行くほど緩やかになりほぼ水平になります。また頚椎部では横突起部に凹凸孔があるのも特徴です。
また胸椎部の特徴としては椎間関節面は屋根瓦状になっており上位の椎弓は下位の椎弓の後面に位置し腹臥位で透視画面上で見た場合には関節面を見ることはできません。この関節面は直径が1cm.の円形で、椎間関節造営を行うと円形の形が描出されます。
腰椎部の特徴としては上位腰椎では背側の椎間関節面が背部方向に向いており透視かでは腹臥位でも関節面が確認できます。しかし下位腰椎では関節面が背側外方に向いているので、患側斜位で行わないと関節面を確認できないこともあります。
椎間間説部を支配している神経は脊髄神経後枝が椎間関節の外側を関節包に接し走り内側枝と外側枝に別れ内側枝が最終的に椎間関節を支配します。ただしこの椎間関節を支配する脊髄神経後枝内側枝はさらに上位の椎間関節に向かう上枝、下位の椎間関節に向かう下枝に別れます。
椎間関節ブロックを行う体位は、椎間関節の部位や患者の状態によって側臥位法腹臥位法斜位法などに分かれます。
頚椎椎間関節ブロックは側臥位法、前方斜位法、後方斜位法のような方法で行っていきます。
比較的よく行われるのは、側臥位法です。患者の姿位は患側を上にした側臥位とし枕は肩幅に等しい高さとします。頚椎の棘突起を結んだ線と透視台が平行になるように調節します。
目的とする頚椎の椎弓が左右重なるように調整し椎間関節裂隙が一本の線として描出できるように調節します。この体位の固定がうまく行かないと実際の関節裂隙の位置と鍼が到達する部位にずれが生じてしまいます。
圧痛部位に一致する椎間関節を触診で確認し注射針は23G~25G(直径が0.7~0.5ミリ程度)を用います。長さは、だいたい60ミリ程度のものを用います。刺入点としては透視下で目的とする関節を構成する上関節突起下位の椎骨の上関節突起を目的とし針先を一度上関節突起に当て次に針先を頭側上方にずらしながら関節内に刺入して行きます。これはX線透視下で鍼の進む方向を見ながら操作するのでこういったことができます。頭側にずらす角度は上位の関節ほど鋭角となり下位の関節になるにつれて水平に近くなります。
そこで造影剤を注入すると関節裂隙に一致した一直線の造営像が見られます。その後局麻薬1%カルボカインとステロイド剤の混合液を1ml注入します。終了後30分ほど安静臥床にて経かを観察します。
前斜位法というのもあるのですが患者を仰臥位とし前方から刺入する方法です。後方斜位法というのは患者を腹臥位として後方からアプローチしていく方法になります。
胸椎部でのブロックの方法は、患者は腹臥位をとり胸部に枕を当てて当該関節部が上に向かって凸になるように姿位を決めます。棘突起の外方1~2センチに触診で圧痛を確認しペンなどで印をつけて起きます。
X線透視下で圧痛部を再確認し胸椎の椎間関節は屋根瓦状になっている為X線透視軸を垂直より10度尾側下方に傾けるようにすると関節裂隙が見えてきます。X線透視下で当該関節の下方の椎弓根を確認しこの部位を局麻します。次にそれに向かって注射針がその椎弓根に当たるまで進めます。その後針を2~3ミリ頭側上方にむけて進めていくと関節穿刺の感触とともに関節内に針先が到達します。ここで、頚椎のときと同じように造影剤を注入すると関節部が楕円形に造営されます。もし椎間関節の関節包に損傷が見られれば周辺に造影剤が漏れ出ることもあります。造営後薬液を注入し安静をとって終了となります。
腰椎椎間関節ブロックには斜位法や腹臥位法という方法をとります。一般的によく使われるのは斜位法です。患者の腹部に枕を当て患側上位の前傾斜位をとります。30度~45度の前傾姿勢をとってもらいます。
透視下で椎間関節裂隙が確認できるように斜位の角度を調節し透視画面上で目的とする椎間関節裂隙を確認し脾浮上にコッフェル(鉗子)ピンセット等金属のもの透視上で目印としておいておきまして裂隙の付近とその鉗子などの先端が一致するようにセットして透視していきます。その点に23G6センチくらいの注射針を用いて刺入していきます。
まず局麻を行って、そのまま針を抜かず裂隙にむけて進めていきます。針先が関節包に刺入されますと指先に挿入字の独特な感触があり針先が関節面まで滑り込むのがわかります。おそらく頚椎や胸椎よりも関節部が非常に大きいので腰椎の場合一番この刺入して行ったときの独特の感触というのが骨でもない筋肉でもない少し弾力性のあるようなところに針先が入っていくといよううな感触がわかります。針先が関節裂隙に挟まれるとしっかりと針体が固定され動きにくくなります。
そこで造影剤を注入しまして楕円形の関節陰影が透視下に映し出されれば関節注入が確実にできていると考えます。局麻薬とステロイド薬の混合液を注入しもし患者が殿部下肢に放散痛を訴えるようであればなおさら確実に入っていると考えてよいと思います。
もし裂隙に針がしっかり入らないで関節外に薬液が漏れ出ていても基本的に治療効果は変わらないといわれています。目的としては、関節に薬液を入れるのではなくて脊髄神経後枝内側枝この知覚枝をブロックするという意図があるわけですから確実に裂隙に入らなくても実際には高価はでるということになります。あとは腰椎部ですと腹臥位法というのがあるのですがこれは両側の椎間関節ブロックをしたい場合に行う方法です。
適応は、椎間関節症椎間関節障害ということになるのですが具体的な疾患を挙げるとすれば変形性脊椎症、椎間板ヘルニア、脊柱管狭窄症、分離すべり症、外傷性頚部症候群(いわゆる鞭打ち損傷)ほとんどが脊椎疾患ですがコレラが適応となります。そのほかまれですけれども、帯状疱疹後神経痛や圧迫骨折による腰背部痛などにも適応と考えられています。
椎間関節ブロックを行った場合、どれくらい治療効果(鎮痛)というのが持続するのかですが一回のブロックで2~3週間持続効果が得られるといわれています。もしその程度の持続効果があれば通院により繰り返しブロックを行いペインコントロールを行うということが妥当だと思います。逆に2~3日程度しか効果がない場合は長期的予後を考えますと手術や他の方法を考慮すべきと考えられます。
他の治療法としては、脊髄神経後枝この部分の高周波熱凝固法こういったものを試みる場合があります。高周波熱凝固法というのは、熱で神経を変性させて電動遮断するというものです。薬液を注入する神経ブロックとは異なり熱の効果というのはそれほど広範囲に及びませんので目的でない神経に障害が及ぶということが少ないという利点として行われます。電極となる針を目的となる神経に到達させここで針先から電流がながれ90度の高熱で90秒間神経を熱凝固するというような方法です。これを行った場合には神経が変性していますので2~3年効果が期待できるといわれています。
椎間関節ブロックの合併症ですが、脊髄損傷はまれで、比較的多いのは血管穿刺、頚椎部などは、横突起の部分に横突孔の中に血管が通っていますので、ここで血管に薬液を注入してしまう、あるいは椎間孔まで針先を進めて言った場合には神経根損傷というようなことも考えられます。

最後に、この椎間関節の鍼治療への応用ですが、アプローチの方法としてはブロックの方法をそのまままねるということもできる場合もあるしできない場合もあります。その理由は針の直径の違いや透視ができるできないとかというような差なんですがいえるのは裂隙部に必ず針先を入れる必要はないのですから、少々細い針でも椎間関節部付近には針先を到達させることは、鍼灸の鍼でもできると… 5番くらいの太さの鍼ではそれに近い操作ができると考えられます。細い鍼などで行う場合には同じ方法ではできないので棘突起の後側から刺針していく方法とか、脊柱起立筋の外方から刺入していく方法とか、応用としてそういったアプローチの方法があります。

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