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2007年5月 9日 (水)

腹腔神経叢ブロック

腹腔神経叢ブロックとは腹部内臓に由来する疼痛を寛解させることを目的とし腹腔神経叢に入る神経または神経節に薬液を注入して腹部内蔵を支配する神経の伝達を遮断するブロックです。
このブロックは上腹部と後腹膜由来の悪性腫瘍による痛みすなわち慢性疼痛の治療に適用があります。またこの交感神経の関連のブロックとしては下腸間膜動脈神経叢ブロック、上および下腹神経叢ブロックなどもあります。
腹腔神経叢は大動脈の前面横隔膜の下方後腹膜の後面で腹腔動脈上腸間膜動脈起始部この部分の左右に広がる神経網の総称です。
腹大動脈の前面にはその全長に渡って交感神経叢が広がっています。
腹腔神経叢はその中でも最も密度の高い集まりです。
さらに腹腔神経叢から腹大動脈にそって下行する交感神経のネットワークの一つに下腸間膜動脈神経叢があります。
下腸間膜動脈の起始部を取り囲むようにこの神経叢は位置しています。
この神経は横行結腸から肛門までと泌尿生殖器に分布しています。
さらに下腸間膜動脈神経叢の下方には上腹神経叢・下腹神経叢があります。
この神経は仙骨内臓神経と骨盤内臓神経とともに骨盤神経叢を形成します。
その位置は下腸間膜動脈起始部下端から大動脈分岐部、左右の総腸骨動脈に枝分かれするその手前までの範囲にあります。
上および下腹神経叢が左右の下腹神経に分岐する位置は第5腰椎前面から第一仙椎前面です。
下腹神経は泌尿生殖器に分布しており排尿や勃起あるいはこの部分の痛みと関与しています。
腹腔神経叢ブロックの手技ですが、アプローチの方法には前方接近法と後方接近法があります。
一般的には後方接近法が用いられます。
前方接近法は開腹して行う処置であるため手術の際、例えば上腹部の悪性腫瘍で述語に痛みが予想される例で手術や放射線照射が行われたとき術中に同時にこのブロックを行うというようなことがあります。
その場合に前方接近法が適用となります。
一方、後方接近法には、さらに傍脊椎法と経椎間板法があります。一般的には傍脊椎法が用いられ刺入方向に腫瘍が存在する場合は経椎間板法が適用となります。
傍脊椎法による手技は患者を側臥位としてX線透視下で第一腰椎体を確認し椎体の中央を通る水平線を皮膚上に定規で皮膚上にマジックペンなどで線を引きます。
そして正中より6~8センチ外側の点を刺入点とします。(普通6センチで、身体の大きい方で8センチ)
この部分を1%カルボカインで局麻した後21G直径0.8ミリ長さ12~15センチ位スタイレット付ブロック針(翼状針)を用いて透視下で第1腰椎体側面に向けて進めていきます。
透視下で側面から見た状態で針先が椎体の側面の骨に接したらゆっくりとそこからは刺入していきます。
当然この位置まで注射針を進めるということは、その前に腰神経叢を貫通していきます。
さらにそれよりも前方に針先を進めます。
椎体側面に沿って入れていくということは外方6センチの位置から椎体のほうへということですから正中に向かって刺入していくのですがこれは腎臓を注射針で穿刺してしまうことを避けるために椎体ぎりぎりに沿うような形で外方から入れていきます。
この際ブロック針に生殖を入れたシリンジを接続しピストンを押しながら(抵抗を感じながら)針先を進めて行きます。
筋や結合組織がしっかり詰まっているような場合には注射器に入っている生食はなかなか中に入りずらいですが、大動脈の周辺にある空間(コンパートメント)に針先が到達すると急にピストンの圧が消失して生理食塩液が入りやすい状態になります。
そこまできたら神経叢の付近と判断し薬液を注入していくということになります。
ちょうどコンパートメントというのは横隔膜の下方(起始部上方)そして椎体そして腹大動脈が形成する個室のような空間コンパートメントまで針先を勧めます。
その後の針の位置は左右のどちらから刺入するかということで異なってきます。
要するに腹大動脈の位置が椎体前方でやや左側によっていますので左側から刺入した場合には透視下で腹大動脈の後面まで針先を進めて行きます。
そこで5ミリ程度の造影剤と局麻薬の混合液を注入します。
すると正面像で透視をしたときには薬液がH型に広がり側面像では椎体前面から大動脈の前方まで長方形の形の陰影が現れます。
正面像でアルファベットのH型の陰影というのは椎体前縁のところ腹大動脈の両サイド、腹大動脈から前方に分枝している枝で腹腔動脈と上腸間膜動脈この2本前に枝分かれしていく動脈の上下の間に薬液が入るのでこれがH文字の横棒に見えてH型に見えます。
これが右側から刺入した場合には腹大動脈は左によっていますので距離が遠くなります。
ですので、針先が腹大動脈に当たるということはないですが、右のほうでは、大動脈、横隔膜、椎体これで囲まれるコンパートメントが少し廣くなっていて、薬液の広がりは広くなっていて反対側のほうへ薬液がなかなか浸潤しないということになります。
左側から入れた場合には幾分右のほうには薬の浸潤が認められるということになります。
造営所見から針先を良好な位置にあると判断されたなら造営20分後に神経破壊薬を注入していきます。
腹腔神経ブロックに使う薬液というのは基本的には神経破壊薬を用います。中には局麻薬プラスステロイドを注入するということがあるのですが、基本的には癌性疼痛に用いますので神経の破壊を目的にブロックするので神経破壊薬を用います。
使用される神経破壊薬の種類濃度量というのは非常にさまざまです。
一例を挙げれば99.5%アルコールを一側あたり15~20ミリ程度ですが、施設によってアルコールの濃度や量は様々です。
あるいはフェノールを用いるところもあるようです。15~20ミリ程度というのは神経破壊薬の量としては多いということになります。ということは腹腔神経叢の周辺が広いということになります。
ブロックの後はそのままの体位で2時間そのあとさらに自由な体位で2時間安静を取らせます。
側臥位では一側ずつしかブロックができませんので反対側に行う場合には翌日以降にブロックを行います。
腹腔神経叢の下方にあります下腸間膜動脈神経叢ブロックというのは下腹部骨盤内臓から求心性繊維に由来する疼痛を除去する目的で用いられます。
このブロックは第3腰椎体のレベルで腹腔神経叢ブロックと同じようにブロックすることができます。
腹腔神経叢ブロックと違う点は前方に横隔膜の起始部がないため腹大動脈に十分針が接してナイト、この神経叢というのはちょうど腹大動脈の前方に網の目のような状態で存在するのでかなり網の目のような状態で存在するのでかなり動脈に接していないと前方に漏れ出て行って下に流れてしまうという欠点があります。
上および下腹神経叢ブロックは骨盤内臓由来の除痛に有用な手技です。
第5腰椎体の側面に接しながら行う傍脊椎法そしてL5-s1間の椎間板を穿刺して椎間板を貫通していく経椎間板法の二つがあります。
一般的には傍脊椎法、椎体の側面に接しながらという方法です。
アプローチの方法としては、腰部交感神経ブロックの斜位法とほとんど同じような手技でただ針先が交感神経の位置よりももっと前方の腹大動脈あるいは分岐部の方まで進んでいきます。
これらの神経ブロックの適用ですが、悪性腫瘍による腹部の疼痛です。
腹腔神経叢ブロックの場合腹大動脈周囲のリンパ説が腫脹している腹腔神経節あるいは下腸間膜神経叢、上および下腹神経叢を刺激しているというような腫瘍の転位リンパ節の腫大などに効果が認められます。
腹部痛を訴える患者では、末期がんの場合モルヒネを良く使いますがその前段階として試みる手段として考えられています。
そのほか腹腔神経叢ブロックの適用として急性膵炎や胆嚢炎あるいは術後腹部痛手術後に起こる原因不明の腹痛こういったものが適用としてあげられます。
ただ癌性疼痛とは異なり神経破壊薬の変わりに局麻薬とステロイドを用います。一時的に除痛を図るというものです。
下腸間膜動脈神経叢ブロックと上および下腹神経叢ブロックは直腸癌や膀胱癌というものの除痛に適用があります。
合併症は、これらは交感神経叢の枝ですからブロックで低血圧あるいは起立性低血圧などを起こすというようなことがあります。10~15mmHg程度血圧が下がるといわれています。
交感神経が遮断され副交感神経優位になって消化管運動が亢進するということから下痢を起こすことがあり場合によっては下痢が一ヶ月以上持続することがあります。
酩酊用状態というのも合併症としてありこのブロックの場合神経破壊薬としてかなり大量のアルコールを使用しますのでお酒を飲めない方の場合酩酊状態になるということがあります。アルコール性神経炎が起きやすいです。
血管損傷というのも合併症としてあります。腹腔神経叢などまで針先を持っていこうとすると、これらの神経叢というのは腹大動脈の前にありますので針先が動脈のほうに向かっていくので、実際に血管や神経に穿刺する必要はないのですけれども、針先が行き過ぎて血管に入ってしまうというようなことはあります。ただ、血管に入ったとしても吸引テストをすれば薬液の注入はせずにすみますので問題ないと思いますが他に、血管の損傷ですが、動脈に穿刺した場合にもそんなに大きな穴は開きませんのですぐに止血されるので問題はないかと思います。ただ、下大静脈の場合は、それほど弾力性のある血管ではないので、太い注射針などで穴を開けてしまうと止血されにくいというようなことはあるようです。

以上、腹腔神経叢ブロックですけれども、かなり深層部へのブロックですので、なかなかこういったものは鍼治療への応用というのはできません。


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