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カテゴリー「頭部顔面部」の24件の投稿

2014年7月11日 (金)

脱毛症の鍼灸治療( 続)

代田文彦、光藤英彦:円形脱毛症、日本東洋医学会誌、25(3)、138-142、1975.
代田らの論文は3例の症例報告である。治療方針の基本は全身調整(補腎、血虚の改善および去風と局所治療である。)
全身調整の基本穴は補腎として腎ュ穴、養血として肝ュ穴、中カン穴、去風として身柱穴を取り、ダン中穴、関元穴、少海穴に圧痛があればこれを加える。局所治療は頭部循環改善として和リョウ穴、曲差穴、上天柱、エイ明穴を取り、これらに脱毛局所を加える。何れも灸が効果的であると述べている。灸は半米粒大で5壮を毎日続けるとしている。
頭部循環の改善をはかる経穴を選んだ理由として頭を支配する動脈、静脈、神経の比較的大きい幹で皮下に突き出ている部位として前述した経穴を選穴した。こ2代田らの鍼灸治療の特徴がある。
治療法について要約すれば頭部と関係する経絡を利用する循経治療、「証」に基づく随証治療、脱毛部の局所治療の3つである。これらの治療法の組み合わせが治療者によって微妙に違っているものの基本的なところでは共通するものが認められる。

2014年7月10日 (木)

脱毛症の鍼灸治療( 続)

前に述べたしん三針の補助穴として大星穴(上星穴と神庭穴の間:皮脂の多い人に用いる)、第六頸椎の下際(頭部にかゆみのある人に用いる)、脳戸の下5mm(一年以上治療を行って効果のない場合に用いる)などを適宜加える。
しん三針の治療法を解説するとすれば局所治療と経絡ゆを巧く組み合わせた治療法であるといえる。頸部の健脳穴は頸部の緊張を緩めるとともに頭部循環改善の要としてのポイントでもある。と同時に胆経上に存在することから胆経の効果が期待できる。また、防老穴も同様で局所の循環改善と同時に督脈上に存在することから督脈の効果が期待できる。
えん三針の脱毛治療で忘れてはならないことはしん氏の「五つの誓い」がある。五つの誓いとは①シャンプーはぬるめの湯で②規則正しい生活をする、③刺激的な食物はさける(唐辛子など)、④度数の高いアルコールは飲まない、⑤怒ったりいらだったりしないといった生活の養生訓である。これらのことを守るよう患者指導することが「しん三針」の治療効果を高める。

日本文献からみた脱毛症の鍼灸治療
円形脱毛症あるいは脱毛症にかんする論文は非常に少なく三編のみであった。これらの論文を要約し、それぞれの特徴について解説する。

出端昭夫:「円形脱毛症の治療」、日鍼灸誌
円形脱毛症患者22例(初診時の円形脱毛症患者の内容は全頭型6例、ほぼ全頭型8例、部分脱毛8例で、その中で全身脱毛10例、頭髪脱毛12例)を対象に鍼灸治療を行ったところ良好および治癒が8例、普遍2例、脱落4例、現在治療中で成績不明8例であった。なお、鍼灸治療で良好および治癒と判定された症例がどのタイプの患者なのかについては記載がない。また、良好の判定基準も記載がない。
出端の治療方法は督脈上の圧痛点を治療点とするところに特徴がある。圧痛は第七頸椎きょく突起下(大椎穴)から第十胸椎きょく突起下までに多く出現するとし、圧痛を示した部位を治療点にして置針15〜20分間行っている。ときには半米粒大の灸を3〜5壮行っている。もちろん脱毛部位には梅花鍼法(軽度の発赤が認められる程度)や糸状灸を行っている。灸は部分脱毛の場合は脱毛の最も著名な部位に一カ所糸状灸を2壮、全頭脱毛の場合は10箇所から20箇所をランダムにとり施灸している。(続く)

2014年7月 6日 (日)

脱毛症の鍼灸治療

脱毛症の鍼灸治療を組み立てる場合に重要なことは脱毛の原因を明確にし、弁証を立てることと頭部を巡る経絡の流注を理解することです。
頭部を巡る経絡は、すこぶる多い。督脈、督脈の絡脈、膀胱経、膀胱経の別絡、陽維脈、胆経、三焦経、三焦経の別絡、陽脈の9つの経絡です。これらの経絡はいずれも脱毛の鍼灸治療に使用される。経絡の分布領域と脱毛部位との関連も治療上の重要な示唆を与えてくれます。

えんさんしんの方法

えんさんしんは三本の鍼で脱毛症を治療しようとする新しい鍼法です。この方法はえん先生によって創造されたものです。使用する基本経穴は防老穴と健脳穴の2穴です。技法は以下の通りです。
防老穴は百絵の後ろ一寸に取る。健脳穴は風池の下一寸五分下に取る。この部位は必ずしも拘るものではなくその経上で反応のある部位に取り多少の前後のズレは問題にしない。
防老穴の刺針深度は2〜3mm程度とし、前方に向けて3回捻針として刺入する(横刺)。健脳穴の刺入深度は5〜10mm程度とし、内方に向き合うような方向で3回捻針しながら刺入する。針法はいずれも置針で10〜15分間程度とし、この間患者に心静かに瞑想させると良い。使用針は中国針の30〜32号の5分である。
しんさんしんの処方パターンには2通りある。第一のパターンは防老穴と左右の健脳穴の3穴を用いる方法で第二のパターンは防老穴とその傍ら左右の胆経上あるいは膀胱経上のツボの3穴を用いる方法である。第二のパターンでは左右とも胆経上にとる方法と左右とも膀胱経上にとる方法一方を胆経もう一方を膀胱経にとる方法があり4通りです。

2010年12月21日 (火)

耳門

耳門は、聴宮聴会と同様に耳歯顎関節の愁訴に用いられることが多く、その他側頭部痛片頭痛などに用いられます。
耳門は経絡の巡行領域の治療に用いられることよりも局所(顎関節部側頭部など)に用いられることが多いです。
耳鳴り、難聴、耳垂れ、耳痛、歯痛、開口咀嚼障害、片頭痛などに用いられることが多く書かれています。
耳門と耳珠との間には、浅側頭動脈があり、動脈に刺針すると静脈刺針に比べて出血が多く青あざになる危険が多いのです。
また、浅側頭動脈に寄り添うように浅側頭静脈が走行しているためこの領域への刺針をすると出血をしやすい。
よって、刺針は、浅側頭動脈の拍動をしっかり触知し、それよりもやや前方を刺入点として、前方に斜刺をします。
刺入深度5mm程度では、皮下に外頚動脈の最終分枝の浅側頭動脈と浅側頭静脈があり、前方頭側には側頭筋膜もあります。
浅側頭動静脈の動脈に刺針すると拍動性の出血による皮膚の膨張が発生します。
この部位での出血斑は目立ちやすいので触診を充分した後に刺入します。
10mmまで刺入しますと付近には、茎乳突孔から出た顔面神経(側頭枝頬筋枝)、浅側頭動静脈の深部に顎側頭下顎関節包の関節突起があります。
耳門は、穿刺が普通ですが歯痛や顎関節痛などの緩和を目的に下関や上関とともに用いられることがあります。
この場合は、10mm程度の刺針が必要です。
耳門と聴宮ですが、聴宮は耳下腺に位置が近く深刺での耳下腺損傷を起こすリスクがありますので深刺の場合は聴宮より耳門を選穴したほうがよいようです。
15mmまで刺入しますと顎側頭下顎関節包を形成する側頭骨下顎果と骨性外耳孔との間に鍼が入り側頭骨に到達します。
側頭筋の深部には、深側頭動脈があり深側頭動脈は、顎動脈翼突部から複数出る動脈で側頭筋内または側頭筋と骨の間あります。
やや前下方に針先を向けると関節内穿刺になるため注意します。
骨表面を覆う骨膜は知覚神経に富、骨表面に触れると独特の嫌な痛みを感じることが多いですので特別な理由がない限り15mmまで刺入する必要はありません。

2010年11月30日 (火)

鼻づまり

鼻腔粘膜は三叉神経第一枝と第二枝の支配の為、ジョウセイ、シンドウや奇穴のビツウが速効生があります。風池もよく鍼がスーと入っていくときには気が少ないので間欠運鍼をします。10分位の置鍼の間に5分ごとに雀啄をしますが抵抗を感じたなら気が集まっていますのでそこで辞めます。粒鍼で耳鍼するばあい耳朱の上の方は目のゴロゴロ感に下は内分泌で副腎皮質ホルモンに関係しその間はダイエットです。楊枝の柄で押して圧痛をみます。

2010年11月 9日 (火)

聴宮(ちょうきゅう)

聴宮(ちょうきゅう)は、聴会(ちょうえ)と同じく耳歯顎関節の愁訴に用いられることが多いです。
中国での論文では、耳疾患では感音性難聴、薬物中毒による難聴に著効を示すと示唆されています。
感音性難聴へのその有効率は、36~80%であると記されているものがあります。
その治療メカニズムは、刺針により内耳血管の透過性の亢進聴覚器末梢の栄養状態の改善、蝸牛電図の振幅増大による蝸牛管の機能向上です。
刺針方法は、単刺術や刺針術の外に電気鍼療法やレーザー鍼療法が用いられているとかかれています。
本邦でのレーザー鍼療法は現実的ではないですが、電気鍼は普及していますので一考に値します。
しかし、聴宮と同様に出血のリスクが高いですので刺針の目的とリスクを受療者によく説明することが肝要です。
聴会は足の少陽胆経に属し聴宮は手の太陽小腸経に属し耳門は手の少陽三焦経に属する経穴です。
5mm深度では、耳珠中央の前方の陥凹部での取穴での為耳珠の直ぐ前には白色の軟骨の外耳道があり、その直ぐ前方には浅側頭動静脈があります。
また、耳下腺の表面を覆う耳下腺筋膜もあります。
聴宮は顎関節痛の圧痛店になることが多く、近傍には浅側頭動脈が存在するので出血するリスクが高く刺針時に確認が必須です。
押し手で触診し拍動部位を避けて刺針します。
10mm深度では、外耳道前方の軟骨壁と茎乳突孔から出た顔面神経の分枝が走行し耳下腺筋膜の下の耳下腺浅葉があります。
顔面神経は耳下腺内に入り込んで耳下腺神経叢を作ります。
この神経叢の存在により耳下腺は浅葉と深葉に分けられます。
顔面神経は、表情金を支配する五分枝にわかれ三叉神経の下顎枝もあるが非常に細いです。
聴宮は単独でも使用するが、歯痛や顎関節痛の緩和を目的として用いられます。
リスクから基本的には単刺術で、関節突起周辺を狙うべきですが鍼通電を用いることもありますが10mm程度の刺入が必要です。
軽く開口して刺針しますが、出血の可能性とともに耳下腺、外耳道軟骨への刺針リスクを伴います。
刺入時の動脈や軟骨への刺針には貫通感の変化を感じますので、弾性の感覚に注意をします。
顎関節の治療機序は、病変部の血液循環を改善し患部の温度を上昇させ筋肉の痙攣を解除し下顎の運動を正常に回復させます。
この治療機序が正しいのならば、鍼を対象部位に深刺することだけが治療法ではなく、安全深度な皮下浅層への刺針や円皮鍼留置して相加効果を狙う。

2010年10月12日 (火)

聴会穴

聴会穴は、耳鳴り、難聴、幻暈、メニュエル病、中耳炎等の耳痛、顎関節炎、咀嚼時などの顎関節痛、開口障害などに多用されています。
またストレス性の頭痛のぼせ動悸などにも厥陰肝経の経穴と合わせて用いられることが多いです。
最近では、美容鍼灸などで顔面に刺鍼するところも増えているが、耳介前部には、さまざまな構造物が存在しそれらが損傷するリスクは常にあります。
なぜそこに刺すのかどのような効果を狙っているのかその医学的根拠は何か伴うリスクと起こったときの対応を事前に受療者に説明しておかないと施術後にトラブルになるリスクがあります。
顔面部への刺針は目的を明らかにして行うことが必須です。
聴会は足の少陽胆経に属する経穴、聴宮は手の太陽小腸経に属する経穴、耳門は手の少陽三焦経に属する経穴です。
聴会、皮膚から5mm程度の深さでは、皮下には顔面神経が走行しています。
頬部に多く観察される耳下腺を覆う耳下腺筋膜が確認されます。
耳下腺筋膜は四つの咀嚼筋(外側翼突筋、内側翼突筋、咬筋、側頭筋)のうち咬筋を覆う咬筋筋膜の一部と考えられています。
聴会、皮膚から10mm程度の深さでは、顔面神経が確認されます。
顔面神経は、茎乳突孔から出た後耳下腺内に進入し、帽状かつ立体的に分岐し耳下腺神経叢を形成します。
耳下腺神経叢により耳下腺は浅葉と深葉に分けられます。
また、三叉神経第三枝下顎神経の分枝として耳介側頭神経が出るがこの枝と表層に走行する顔面神経と吻合している部分があります。
浅側頭動静脈、中側頭動静脈が確認されます。
耳門、聴宮、、聴会はきわめて短い距離に並んでいるためにどれも同じとみなしやすいですが、経脈はどれもまったく別の経絡ですので、東洋医学的な臨床意義は各々異なっています。
解剖的にも、聴会の直下には、耳下腺や浅側頭動脈深部には顎関節が存在します。
耳鳴りや歯痛顎関節痛の治療点にすることが多いですが、安易な深刺はこれらの組織の損傷につながるリスクがあります。
耳鳴りや難聴顎関節症の治療点となる聴会ですが非衛生的環境での刺針では耳下腺炎のリスクを高めます。
また、顎関節痛時の圧痛点となりますが、深刺は動脈や神経を損傷するリスクが高いといえます。
聴会への安全深度は、1cmと考えられますので、聴会一決では効果が少ないため影風や下関、手の陽明大腸経、足の陽明胃経、足の厥陰肝経等で取穴し組み合わせて刺激量を調節すべきでしょう。
もし、治療上深刺が必要な場合には、受療者に内出血等のリスクを事前に説明するとともに、動脈刺針を避けるためにゆっくり刺鍼して刺し手に拍動を感じたら、ただちに抜鍼する必要があります。

2008年9月 9日 (火)

顔面神経麻痺の後遺症

近年まで原因不明であったベル麻痺に関しては単純ヘルペスウイルスの再活性による神経炎であるということになってきました。
しかしながら、顔面神経麻痺の後遺症の発現は仕方がないといわれ予防することがなかなか難しい課題です。
顔面神経麻痺の病態は、急性期、移行期、慢性期の三つに分かれます。
急性期は、神経の変性の予防に努めます。(抗ウイルス薬、ステロイド薬等)
移行期は、神経の再生の調整に努めます。(各種リハビリ)
慢性期は、神経の再構築に努めます。
顔面神経麻痺の後遺症は、麻痺になって6ヶ月くらいから後遺症が見られてきます。
1、異常共同運動…口を口笛を吹くような形にしたり、イーといった形にしたりすると勝手に眼輪筋が動いて目が閉じてしまう。
2、拘縮…麻痺側の顔が硬くていつも違和感を感じる。鼻唇溝が深くなるなど。
3、痙攣…ぴくぴく動く。
4、ワニの涙目…食事中や会話をしているときなどに涙が出てしまう。
専門化領域では優れた報告もなくガイドラインもないのが現状です。
リハビリとしては、バイオフィードバック療法を行います。
しかし、時間がかかるということと、効果が出にくいということでモチベーションの維持が難しいです。
マッサージですが、表情筋がいっしょくたんに動いてしまうので、引っ張るようなマッサージを行います。
温熱療法も効果があります。
電気刺激療法に関しては、後遺症のある患者さんには行ってはいけません。
なぜ禁忌かというと、異常性共同運動が現れている患者さんに電気刺激療法を行うと、他の場所も動いてしまうので、病的共同運動を助長してしまうといった逆効果があります。
電気刺激療法はこんな時に使われます。
脱神経が起こるとその末梢の髄鞘や軸索は変性して、続いて筋の廃用萎縮がおこる。
筋が完全に廃用萎縮してなければ神経再生によって筋機能が回復する。
電気刺激療法で低周波を与え、筋を受動的に収縮させ筋の廃用萎縮予防をする効果がある。
1日2~3回数分程度あるいは週数回行う。

顔面神経麻痺の後遺症が、ひどい場合手術療法などもあります。(筋神経の移植)
最近増えている治療としては、ボツリヌス毒素を拘縮や異常性共同運動のみられるところに何ヶ所か注射を打ちます。
ボツリヌス毒素で神経を麻痺させて、また顔面神経麻痺を起こさせるようなものですけれども、上手に何ヶ所か麻痺をさせます。
継続して注射をしていくことと、金額がかかりますので全ての患者さんが行っているわけではありません。
後遺症を持つ患者さんの特徴としては、健側の目を大きく開けて見る癖がついていますので、患側の麻痺側は眼瞼が下垂していますので健側が大きく見えます。
患側の目が見にくいものですから健側の目を大きく開けてしまう癖がついてしまいます。
目を大きく開けると、前頭筋が動いてしわがより、それを続けていますとしわが深くなります。
前頭筋を使って目を大きく開ける動作はなるたけやめて、上眼瞼挙筋を使った開眼運動を指導すべきだといわれています。
上眼瞼挙筋は、眼球に沿って内側に入り込んでいて顔面神経支配ではなく三叉神経支配です。
前頭筋に触れながら目を大きく開け前頭筋が動かないような開眼運動をすると健側の深いしわや病的共同運動で眼輪筋が収縮して目をつぶってしまうことを防ぐことができます。
しかし、上眼瞼挙筋運動をしていると、頭の後ろが痛くなってきます。
病的共同運動が出てしまったら、表情筋の随意運動はやめたほうが良いようです。
それから、前に述べた引っ張るようなマッサージですが、顔面部の表情筋というのは骨格筋と違って筋紡錘がありませんので、後遺症のあるような患者さんは一日表情を動かしていると筋肉が縮んできますので筋を伸ばすようなマッサージをします。

2008年8月28日 (木)

顔面神経麻痺

顔面神経麻痺についてはすでに前述の通りですが、近年の麻痺の後遺症に対する治療の考え方を紹介します。
末梢の顔面神経麻痺の後遺症というのはいくつかあり代表的なものには、異常性の共同運動、スパズム、拘縮、わにの涙目、こわばりがあります。
異常性の共同運動というのは、口輪筋を動かすような動作をしたときに、眼輪筋が収縮してしまうあるいは後頚筋等が緊張してしまうような普通ではおきにくい共同運動のことを言っています。
スパズムは、眼輪筋の痙攣、拘縮というのは、鼻唇溝が深くなって他覚的には硬くこわばる感じです。
わにの涙目というのは、異常性の共同運動のようなものですが、食事をする口を動かすような動作のときにかってに涙腺の分泌が起きて涙の分泌が出てしまう後遺症です。
こわばりというのは顔が硬いということで、特に臨床上多いのは、異常性の共同運動と拘縮が多いことがわかっています。
この後遺症については、臨床上遭遇することが多く、麻痺になった直後の新鮮例よりも麻痺になって一年経過して耳鼻科や病院に行きリハビリを行っていてもなかなかよくならなくて鍼灸治療や手技療法に希望されて来られるお客さんが多いと思います。
普通、麻痺になって半年以降一年二年経って必ずといっていいほどこの後遺症がみられてきます。
異常性の共同運動は末梢神経の再生過程で誤って神経がくっついてしまうということで起きてきます。
これは、今の保存療法や薬物療法やリハビリでは、くっついた神経は元に戻らないということで、もし異常性の共同運動が出てきたときには過激な運動はしないということで、最大な運動はしないでなるべく暖めるとか日常生活の中で異常性の共同運動が起こらないよう気をつけることが大切です。
しかし、出てしまったらなかなかよくならないというのが現実です。
拘縮の場合は、再生すべき神経線維が、再生せずにそのままになっている状態で動かそうとしても動かないとか、筋肉萎縮のようなものが起きて鼻唇溝が深くなって左右差をみてみると麻痺側のほうが萎縮したようになってしまいます。
お客さんの自覚症状は、表情を作りにくいとか、こわばりがあっていつも硬いとか、訴えるお客さんが多いということです。
リハビリのほうでは、バイオフィードバックというのが行われています。
麻痺になった直ぐ後には、目いっぱい動かし、前頭筋であれば鏡を見ながら眉毛を目いっぱい吊り上げしわを寄せるような動作を行い、眼輪筋であれば、目いっぱい目を閉じ、口輪筋であれば、口笛を吹くような動作や横に引くような動作を目いっぱいします。
しかし、異常性の共同運動が出てきたら、筋を目いっぱい動かすことは禁忌になります。
理由は、目いっぱい動かしますと異常性共同運動が強く出てしまうので、かえって逆効果です。
新鮮例の場合には、最大限に表情筋を動かすのが基本でしたが、バイオフィードバック療法は、小さくゆっくりと表情筋を動かし、口輪筋であれば、口笛を吹くような動作などをゆっくりと小さく動かします。
鏡を見て、例えば口を小さくゆっくりと動かしていきますと、眼輪筋の収縮が起きて目が閉じ始まります。
その時点で、口輪筋を動かすことを止め、自分の手で閉じた眼輪筋を広げて、広げたまま口笛を吹くような動作をさらにゆっくりと小さく続けていきます。
これが、バイオフィードバック療法で、中枢に正常な動きを認知させていきます。
発症して一ヶ月から二ヶ月くらいから開始すると良いということで、後遺症を残すと予想されるお客さんに対して初期のうちからバイオフィードバック療法を行います。
一般にリハビリは可能な限り早めに開始するのが基本です。
後遺症が出てからでは遅いといくつかの施設で効果がおきているということです。
普通の病院では、低周波表面電極通電を行うことが多いようですが、そのような通電をしていると異常性共同運動が帰って悪くなると一部では言われています。
理由は、筋肉を動かすことで他の筋肉も動いてしまうので、異常性の共同運動を帰って悪くしてしまうという報告もあります。
刺激の量、刺激の時間、周波数で症状を悪くするかもしれないとか、軽い刺激での収縮では、お客さんの自覚症状のこわばりとか硬さとか取れるのではないかとか論議されているということです。
後遺症のこわばりというのは、どうも、皮膚が硬いということで、温熱療法、鍼灸、マッサージを行い皮膚の硬さをとってあげることが効果があるのです。
電気性理学的には、拘縮で鼻唇溝が出て左右非対称なお客さんの場合の筋電図は、常時振れ振れ幅が高くなる現象がおきているようです。
これは、ハイパーキネジアといい、中枢側の顔面神経核が常に興奮しているので筋肉がこわばっているような感じがしているのではないかということです。
筋緊張が24時間絶えず起きていて、顔面神経核から来るもので皮膚の硬さこわばりとは病態が違うのではないかという考え方も出ています。
この考え方では、薬物で興奮を鎮めるとか、鍼灸の場合でも興奮を鎮めるように治療していく必要性があると思います。
顔面神経麻痺のお客さんをよくするためには、表情筋を緩めたりあるいは血行をよくすることが実際に効果があるのかどうか、保存療法で論議されているようです。
星状神経節ブロックをしますと総頚動脈の血流量や顔面神経組織の血流量は、増加することは確認されています。
しかし、顔面神経の再生に血流が増えることが関与しているのか、顔面神経のどの部位の血流をよくしているのか問題になってきています。
顔面神経麻痺というのは、顔面神経管の中の神経の炎症なので、原因不明とされているベル麻痺というのが、6~7割りとされています。
近年では、ベル麻痺というのは、単純ヘルペス1型(HSV1)によるウイルス性神経炎説が有力になっています。
神経炎を起こす場所は側頭骨内で起こり神経の虚血状態や神経浮腫が進行して麻痺が発生するということです。
薬物療法としては、側頭骨内で起きているウイルス性の神経炎を抗炎症薬や抗ウイルス薬で抑えようと病院でしているようです。
いくつかの病院で行われている、星状神経節ブロックは、側頭骨内の顔面神経肝内の炎症や循環をよくしているのかそういうことが問題になっているようです。
ある施設では、星状神経節ブロックを行っても、神経管内の炎症には関係ないとか、温熱療法や鍼灸手技療法も神経管内の炎症や循環障害には何の役にも立っていないのではないかという方もいらっしゃいます。
薬物療法と、薬物療法に鍼灸を併用した群と、鍼灸のみの群と比較した施設もあるようですが、優位な差はみられなかったようです。
顔面神経麻痺の病態に対して、星状神経節ブロックとか、温熱療法とか、鍼灸手技療法とかはあまり効果がないのではないのかなと思います。
しかし、麻痺になった直後は別にして、神経が再生する過程で顔面筋内外の血流を増やすとか、総頚動脈の血流を増やすことが顔面神経の再生を促進されるかどうか論議されたようです。
ただし、こわばりがあったりとか、動きずらさがあったりとか鍼灸手技療法を行うと直後からこわばりが軽くなったりとか、話しやすくなったりとかという自覚症状の改善があります。
お客さんによって、1週間もつ方もいらっしゃれば2~3日しかもたない方もいらっしゃいます。
そういうわけで、直後効果はあり、お客さんによって累積効果も長短がありますがあるということで、麻痺になった直後の神経管内の炎症に対しては、薬物療法がどうしても必要だと思いますが、その後後遺症が出てきたりとかには、鍼灸手技療法というのは、お客さんのQOLを高める上でも、非常に有効性と有用性があると思います。

2008年6月27日 (金)

東洋医学と伝音性難聴

伝音性難聴の原因は中耳炎の後遺症あるいは産出性中耳炎で、結果的に耳小骨が重く振動が低下するということが病態として考えられます。
では、耳小骨を振動しやすい状態にしてあげるということができるかということですが、解剖学的にみて行くと、耳小骨に二つの筋肉が付いています。
つち骨についているのは、鼓膜張筋です。
これは、鼓膜等の運動性に関わる筋です。
あぶみ骨についている筋が、あぶみ骨筋です。
これは内耳圧などの調整をしている筋です。
この、鼓膜張筋とあぶみ骨筋をあわせて耳小骨筋と読んでいます。
そこで針治療の考え方ですけれども、この鼓膜張筋の支配神経は、三叉神経の第三枝の下顎神経になります。
あぶみ骨筋の支配神経は、顔面神経です。
耳小骨筋に刺激を与えて、耳小骨連鎖の振動を亢進させようということを考えた場合にこの支配神経を刺激して効果が得られるかということを考えます。
具体的なツボを挙げますと下顎神経には下関穴(げかんけつ)で鍼を1センチ程度刺入し、咬筋に刺激を与えます。
もう一つのツボは、影風穴(えいふうけつ)で顔面神経を刺激するということです。
下関(-)影風(+)で1ヘルツ15分間のパルスを行います。
マイナスのほうが動きやすいのですが、下関穴で咬筋が動きカチカチと歯が鳴ります。
この効果は、伝音性難聴の方は治療後10~20デシベル程度聞こえが良くなります。
3~6ヶ月の累積効果でも、20~30デシベル程度上昇します。
60~80デシベルの高度な難聴の方や慢性的な難聴の方はなかなか上がらないのですけれども、中等度の伝音性難聴でしたら治療を行うことで直後効果がありますし、あるいは累積的な効果が期待できるということです。