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カテゴリー「体幹」の26件の投稿

2008年7月11日 (金)

CRPS

反射性交感神経萎縮症(RSD)とカウザルギーと呼ばれていたものの総称です。
CRPSは現在二つのタイプに分類されており、軟部組織や骨損傷後に生じる慢性疼痛の状態をCRPSタイプ1(反射性交感神経ジストロフィー)といい、神経損傷後に生じるものをCRPSタイプ2(カウザルギー)と呼んでいます。
痛みの原因や器質的な原因の見出されない症例の中には、こういった疾患が隠れている場合がありますので注意が必要です。
これらの臨床症状ですが、タイプ1の特徴としては持続する痛み、浮腫、皮膚血流障害、発簡の異常などで、交感神経が関与されていると考えられています。
初期には、浮腫が著しく皮膚温は上昇し、発汗量は低下し、数ヶ月の経過で筋肉や皮膚などの萎縮が強くなり逆に皮膚温が低下し、発汗が亢進してくる例が多くあります。
また、外傷の原因としては、橈骨遠位端骨折や踵骨骨折などの頻度が高いという報告があります。
タイプ2は、末梢神経の障害に続いて起こる持続性の痛みで、アルジニアまたは疼痛過敏を生じるのが特徴です。
その他の症状に関してはタイプ1と類似していますが、タイプ1と比べて疼痛が多い症例が多いようです。
原因としては、帯状疱疹、外傷や手術などによる神経損傷がきっかけとなり発症する例が多いようです。
次に治療法ですが、一般的には運動療法や、温熱療法などの物理療法が基本となります。
しかし、痛みで運動療法が行えない場合には、神経ブロック療法や薬物療法、レーザー療法、TENS等で鎮痛を行います。
神経ブロックは疼痛がみられる分節の交感神経ブロックや感覚神経ブロックを行うのが一般的です。
薬物療法は、ドラッグチャレンジテストを行い、使用薬物を決定することが多いです。
そして、鍼治療がどのような部位に関われるということですが、低周波鍼通電では、症状のみられる部位、例えば、浮腫や皮膚温の低下が見られる部位に反応点パルスを疼痛のみられる領域を支配している感覚神経に対しては、神経パルスを行ったりします。
この場合の周波数の選択ですが、交感神経の異常興奮がCRPSの病態と考え、通常は1ヘルツ通電を行います。
しかし、TENSのように50~100ヘルツ高頻度刺激を行ったほうが鎮痛効果がえられることがあります。
また、実際にCRPSに対する電気刺激療法では、高い周波数の刺激を行ったほうが効果があるという報告もあります。
CRPSに対して鍼治療が必ずしも効果的であるとは限らず、有効率は5割を切る低い治療成績です。
しかし、他の治療方法で効果が上がらず依頼された症例が多くいる中で鎮痛効果がある例があるということは少なくとも有用性はあるということです。

2008年3月31日 (月)

中府への刺鍼

静脈刺鍼をさけるには上腕骨外旋位で胸を張った状態で取穴することが望ましい。
解剖姿位では外上方に位置する三角筋や撓側皮静脈が正面に来てしまうからです。

2007年9月21日 (金)

陰部神経ブロック

陰部神経ブロックとは、陰部の除痛に対して行われるブロックです。
このブロックは産科領域とくに無痛分娩で多用されているブロックですがペインクリニック領域で行われる機械は少ないです。その理由としては会陰部の痛みに対して除痛を試みる場合には仙骨硬膜外ブロックが簡便なので陰部神経にわざわざ当てずにそのもとの、仙骨硬膜外ブロックを現在用いられることが多いです。
陰部神経は第2~第4仙骨神経の前枝によって構成されています。梨状筋下口から出て坐骨棘と仙棘靭帯の内側を通過して肛門周囲の会陰筋(外肛門括約筋など)と外陰部の皮膚知覚を支配している神経です。
ブロックの方法は枕を殿部の前に置き腰部を高くする様な腹臥位をとります。坐骨結節を触診して坐骨結節を刺入点とします。坐骨結節部に局所麻酔をして、22G直径0.72ミリ長さ7センチくらいを用い坐骨結節めがけてあてて、その後坐骨結節の内腹側方向に(内側やや前方)坐骨結節に掠めるような形で数センチ刺入してここで局麻薬を5ml程度注入します。会陰部の感覚がなくなればブロックは成功したことになります。
適応は会陰部痛ですがペインクリニック領域でやる機械があるとすれば時疾患術後の痛み、腰部脊柱管狭窄症の馬尾障害で会陰部の灼熱感や痛みがある場合仙骨硬膜外ブロックを用いることが多いのですがそれで効果がない場合試してみる手段で用いることはあるかもしれません。
鍼灸治療で坐骨結節の内側に鍼を向けて鍼を打つというのは患者さんの下着などをかなりずり下げなければならないのでここから狙っていくということはなかなか難しいです。代わりに梨状筋下口から狙う手技がありますがそれを応用して位置関係は坐骨神経の下方から陰部神経は出てきますので1~2横指下げたところでさらに針先を内下方に向けるような形で、実際にはこのブロックの刺入点よりは仙骨に近いほうで3寸の鍼が用いられる。
神経ブロックでは、仙骨硬膜外という方法があるので陰部神経というのはあまり使わないのですが、鍼治療の場合は、硬膜外まで鍼をさせないので、末梢枝で狙っていく方法のほうが会陰部痛肛門部痛を訴える患者さんがいた場合にはこういった手技で対応する。

2007年6月13日 (水)

腸骨下腹神経・腸骨鼠径神経ブロック

刺入点は、患者を仰臥位にして、上前腸骨棘より1センチ~1.5センチ内側で、この部位で内腹斜筋と腹横筋の間を通る2つの神経を同時にブロックしていきます。まず、刺入点を中心に局麻を行います。注射針は、25G太さ0.5ミリ長さ60ミリのものを使用します。刺入部よりやや外側にむけて腸骨の内壁に当たるように鍼を進めて行ってそこから鍼を引き抜きながら局麻薬を5~10ml.程度浸潤させていきます。次に注射針を刺入部より臍部のほうに向け針を進め刺入点と臍を結ぶ外側に局麻を5ml.皮下に浸潤させるように投与していきます。鼠径部及び下腹部に、知覚の鈍麻が起こればブロックが成功したと考えられます。皮下に浸潤させる程度というのですから上前腸骨棘の内側で刺入深度としては浅い刺入深度で薬液を刺入していきます。注射針としては60ミリという長い針を使うのは深く刺すというのではなくて皮下に沿わせるような形で入れていくということで長さが必要になります。ちょうど、鍼灸の鍼でいうと、水平刺、横刺と同じような形で薬液を注入していくということになります。

腸骨鼠径神経

第1腰神経により構成され腸骨下腹神経のすぐ下から分岐していきます。腹壁を回りながら側腹筋に筋枝を出すほか腸骨稜から鼠径靱帯にそって鼠径部にいたり外陰部の知覚を支配します。

腸骨下腹神経

第12胸神経と第1腰神経によって構成されています。この神経は肋間神経と同様に腹壁を回りながら腹部の筋(腹直筋・側副筋)を支配するほか腸骨稜の直下に外側皮枝そして下腹部に前皮枝を出します。

2007年5月21日 (月)

円皮鍼

置き鍼ともいうがこれは鍼治療後にも留置するので目の届かないところでなにが起こるかわかりません。自分の体験でリハビリの際お年寄りの起居動作をしていたとき円皮鍼の貼ってあった筋が力が入らなくてバランスを崩してぎっくりになったことがあります。この経験から患者さんに使用することはめったにありません。使用するツボも限られます。

2007年5月 9日 (水)

腹腔神経叢ブロック

腹腔神経叢ブロックとは腹部内臓に由来する疼痛を寛解させることを目的とし腹腔神経叢に入る神経または神経節に薬液を注入して腹部内蔵を支配する神経の伝達を遮断するブロックです。
このブロックは上腹部と後腹膜由来の悪性腫瘍による痛みすなわち慢性疼痛の治療に適用があります。またこの交感神経の関連のブロックとしては下腸間膜動脈神経叢ブロック、上および下腹神経叢ブロックなどもあります。
腹腔神経叢は大動脈の前面横隔膜の下方後腹膜の後面で腹腔動脈上腸間膜動脈起始部この部分の左右に広がる神経網の総称です。
腹大動脈の前面にはその全長に渡って交感神経叢が広がっています。
腹腔神経叢はその中でも最も密度の高い集まりです。
さらに腹腔神経叢から腹大動脈にそって下行する交感神経のネットワークの一つに下腸間膜動脈神経叢があります。
下腸間膜動脈の起始部を取り囲むようにこの神経叢は位置しています。
この神経は横行結腸から肛門までと泌尿生殖器に分布しています。
さらに下腸間膜動脈神経叢の下方には上腹神経叢・下腹神経叢があります。
この神経は仙骨内臓神経と骨盤内臓神経とともに骨盤神経叢を形成します。
その位置は下腸間膜動脈起始部下端から大動脈分岐部、左右の総腸骨動脈に枝分かれするその手前までの範囲にあります。
上および下腹神経叢が左右の下腹神経に分岐する位置は第5腰椎前面から第一仙椎前面です。
下腹神経は泌尿生殖器に分布しており排尿や勃起あるいはこの部分の痛みと関与しています。
腹腔神経叢ブロックの手技ですが、アプローチの方法には前方接近法と後方接近法があります。
一般的には後方接近法が用いられます。
前方接近法は開腹して行う処置であるため手術の際、例えば上腹部の悪性腫瘍で述語に痛みが予想される例で手術や放射線照射が行われたとき術中に同時にこのブロックを行うというようなことがあります。
その場合に前方接近法が適用となります。
一方、後方接近法には、さらに傍脊椎法と経椎間板法があります。一般的には傍脊椎法が用いられ刺入方向に腫瘍が存在する場合は経椎間板法が適用となります。
傍脊椎法による手技は患者を側臥位としてX線透視下で第一腰椎体を確認し椎体の中央を通る水平線を皮膚上に定規で皮膚上にマジックペンなどで線を引きます。
そして正中より6~8センチ外側の点を刺入点とします。(普通6センチで、身体の大きい方で8センチ)
この部分を1%カルボカインで局麻した後21G直径0.8ミリ長さ12~15センチ位スタイレット付ブロック針(翼状針)を用いて透視下で第1腰椎体側面に向けて進めていきます。
透視下で側面から見た状態で針先が椎体の側面の骨に接したらゆっくりとそこからは刺入していきます。
当然この位置まで注射針を進めるということは、その前に腰神経叢を貫通していきます。
さらにそれよりも前方に針先を進めます。
椎体側面に沿って入れていくということは外方6センチの位置から椎体のほうへということですから正中に向かって刺入していくのですがこれは腎臓を注射針で穿刺してしまうことを避けるために椎体ぎりぎりに沿うような形で外方から入れていきます。
この際ブロック針に生殖を入れたシリンジを接続しピストンを押しながら(抵抗を感じながら)針先を進めて行きます。
筋や結合組織がしっかり詰まっているような場合には注射器に入っている生食はなかなか中に入りずらいですが、大動脈の周辺にある空間(コンパートメント)に針先が到達すると急にピストンの圧が消失して生理食塩液が入りやすい状態になります。
そこまできたら神経叢の付近と判断し薬液を注入していくということになります。
ちょうどコンパートメントというのは横隔膜の下方(起始部上方)そして椎体そして腹大動脈が形成する個室のような空間コンパートメントまで針先を勧めます。
その後の針の位置は左右のどちらから刺入するかということで異なってきます。
要するに腹大動脈の位置が椎体前方でやや左側によっていますので左側から刺入した場合には透視下で腹大動脈の後面まで針先を進めて行きます。
そこで5ミリ程度の造影剤と局麻薬の混合液を注入します。
すると正面像で透視をしたときには薬液がH型に広がり側面像では椎体前面から大動脈の前方まで長方形の形の陰影が現れます。
正面像でアルファベットのH型の陰影というのは椎体前縁のところ腹大動脈の両サイド、腹大動脈から前方に分枝している枝で腹腔動脈と上腸間膜動脈この2本前に枝分かれしていく動脈の上下の間に薬液が入るのでこれがH文字の横棒に見えてH型に見えます。
これが右側から刺入した場合には腹大動脈は左によっていますので距離が遠くなります。
ですので、針先が腹大動脈に当たるということはないですが、右のほうでは、大動脈、横隔膜、椎体これで囲まれるコンパートメントが少し廣くなっていて、薬液の広がりは広くなっていて反対側のほうへ薬液がなかなか浸潤しないということになります。
左側から入れた場合には幾分右のほうには薬の浸潤が認められるということになります。
造営所見から針先を良好な位置にあると判断されたなら造営20分後に神経破壊薬を注入していきます。
腹腔神経ブロックに使う薬液というのは基本的には神経破壊薬を用います。中には局麻薬プラスステロイドを注入するということがあるのですが、基本的には癌性疼痛に用いますので神経の破壊を目的にブロックするので神経破壊薬を用います。
使用される神経破壊薬の種類濃度量というのは非常にさまざまです。
一例を挙げれば99.5%アルコールを一側あたり15~20ミリ程度ですが、施設によってアルコールの濃度や量は様々です。
あるいはフェノールを用いるところもあるようです。15~20ミリ程度というのは神経破壊薬の量としては多いということになります。ということは腹腔神経叢の周辺が広いということになります。
ブロックの後はそのままの体位で2時間そのあとさらに自由な体位で2時間安静を取らせます。
側臥位では一側ずつしかブロックができませんので反対側に行う場合には翌日以降にブロックを行います。
腹腔神経叢の下方にあります下腸間膜動脈神経叢ブロックというのは下腹部骨盤内臓から求心性繊維に由来する疼痛を除去する目的で用いられます。
このブロックは第3腰椎体のレベルで腹腔神経叢ブロックと同じようにブロックすることができます。
腹腔神経叢ブロックと違う点は前方に横隔膜の起始部がないため腹大動脈に十分針が接してナイト、この神経叢というのはちょうど腹大動脈の前方に網の目のような状態で存在するのでかなり網の目のような状態で存在するのでかなり動脈に接していないと前方に漏れ出て行って下に流れてしまうという欠点があります。
上および下腹神経叢ブロックは骨盤内臓由来の除痛に有用な手技です。
第5腰椎体の側面に接しながら行う傍脊椎法そしてL5-s1間の椎間板を穿刺して椎間板を貫通していく経椎間板法の二つがあります。
一般的には傍脊椎法、椎体の側面に接しながらという方法です。
アプローチの方法としては、腰部交感神経ブロックの斜位法とほとんど同じような手技でただ針先が交感神経の位置よりももっと前方の腹大動脈あるいは分岐部の方まで進んでいきます。
これらの神経ブロックの適用ですが、悪性腫瘍による腹部の疼痛です。
腹腔神経叢ブロックの場合腹大動脈周囲のリンパ説が腫脹している腹腔神経節あるいは下腸間膜神経叢、上および下腹神経叢を刺激しているというような腫瘍の転位リンパ節の腫大などに効果が認められます。
腹部痛を訴える患者では、末期がんの場合モルヒネを良く使いますがその前段階として試みる手段として考えられています。
そのほか腹腔神経叢ブロックの適用として急性膵炎や胆嚢炎あるいは術後腹部痛手術後に起こる原因不明の腹痛こういったものが適用としてあげられます。
ただ癌性疼痛とは異なり神経破壊薬の変わりに局麻薬とステロイドを用います。一時的に除痛を図るというものです。
下腸間膜動脈神経叢ブロックと上および下腹神経叢ブロックは直腸癌や膀胱癌というものの除痛に適用があります。
合併症は、これらは交感神経叢の枝ですからブロックで低血圧あるいは起立性低血圧などを起こすというようなことがあります。10~15mmHg程度血圧が下がるといわれています。
交感神経が遮断され副交感神経優位になって消化管運動が亢進するということから下痢を起こすことがあり場合によっては下痢が一ヶ月以上持続することがあります。
酩酊用状態というのも合併症としてありこのブロックの場合神経破壊薬としてかなり大量のアルコールを使用しますのでお酒を飲めない方の場合酩酊状態になるということがあります。アルコール性神経炎が起きやすいです。
血管損傷というのも合併症としてあります。腹腔神経叢などまで針先を持っていこうとすると、これらの神経叢というのは腹大動脈の前にありますので針先が動脈のほうに向かっていくので、実際に血管や神経に穿刺する必要はないのですけれども、針先が行き過ぎて血管に入ってしまうというようなことはあります。ただ、血管に入ったとしても吸引テストをすれば薬液の注入はせずにすみますので問題ないと思いますが他に、血管の損傷ですが、動脈に穿刺した場合にもそんなに大きな穴は開きませんのですぐに止血されるので問題はないかと思います。ただ、下大静脈の場合は、それほど弾力性のある血管ではないので、太い注射針などで穴を開けてしまうと止血されにくいというようなことはあるようです。

以上、腹腔神経叢ブロックですけれども、かなり深層部へのブロックですので、なかなかこういったものは鍼治療への応用というのはできません。


胸部腰部交感神経ブロック

胸部交感神経ブロックとは交感神経(交感神経幹・交感神経節)これを薬液を用いてブロックする方法です。その作用は体性神経系の影響なし血流の増大皮膚温の上昇発簡停止鎮痛効果等が生じ神経破壊薬の使用によりその作用を延長することができます。
本ブロックは他の神経ブロックと比較して難易度が高い手技であるため現在ではあまり臨床では行われていません。
胸部神経節神経管の解剖ですが、第二から第六肋骨上の交感神経を観察してみるとこの神経は椎間孔から出てロッコツ頭と椎対で構成される肋椎関節の上を通ります。その関節の放射状ロッコツ頭靭帯(椎対の上肋骨窩と下肋骨窩そして肋骨頭の部分の関節を補強する靭帯)と肋骨頭の間にこの神経は存在します。
ですから交感神経はこの関節を中心とした部分に内側外側に網の目状に走行している形になっています。
刺入部位によって前方横気管法と後方横脊椎法があります。有効率と合併症が少ないという理由から一般的には後方横脊椎法が施行されます。前方横気管法というのは鎖骨上第二第三胸椎の高さのブロックで行うもので患者の体位は星状神経節ブロックと同じで仰臥位で前方からブロック針を刺入していく方法です。
一般的に行われる後方横脊椎法は、患者を腹臥位として行うのが現在は一般的です。この際X線透視下で椎体が綺麗な四角形が診られるようにセットし棘突起が椎対の中央に位置するように調節します。
刺入点は棘突起から外側4センチ程度(体格にもよるのですが3.5~6センチ)棘突起から外方にX線透視下で刺入点を決めます。透視下で長さ6センチの注射針で刺入店から椎弓根まで局麻します。次に透視下で21G(直径0.8ミリ)長さ10センチのブロック針を椎弓根に針先が当たるまで進めていきます。そして針先を徐々に下外側に移動させ下関節突起外縁に近づけていきます。
針先を下関節突起外縁に滑り込ませてゆっくり進めると椎対に針先が当たります。
針先の椎対に当たる前に神経根や肋間神経に触れると前胸部に放散痛が生じます。このときは針先を抜いて上下に方向を変更して刺しなおします。
ブロック針の刺入深度は、7センチ前後(体格によって5から8センチくらい)目的とする部位に針先が到達したら造影剤と局麻薬を混ぜた混合薬を注入します。それをX線透視下で確認すると椎体側面から横突起までの間に造影剤が広がっていくのがわかり、このような造営画像がえられれば効果がでる確率が高いと判断します。
ブロックの効果は、混合液注入後5分くらい経過してから上胸部でブロックした場合には上肢の皮膚温上昇や発汗停止下胸部では肋間神経痛だとかの疼痛の軽減があるかないかで効果を判断します。
効果が確実で合併症がおきてないか造営パターンも問題がないかということであればここで混合液注入後20分様子を見てその後に神経破壊薬(100%アルコール)1~3ミリ程度注入します。これでブロックが完了ということになります。
この神経ブロックの適応は胸部あるいは上肢の反射性交感神経萎縮症、カウザルギー、帯状疱疹後神経痛(肋間神経領域)、多汗症、上肢の末梢神経障害等の場合にも用いられます。合併症としては気胸が一番リスクが高い。あとは交感神経ではなくて知覚神経を神経破壊薬でブロックしてしまった場合にはアルコール性神経炎と言って知覚が脱失するほかに焼き付けるような激しい痛みが直後に出ます。その他交感神経の交感神経幹交感神経節というのは椎対の前側面にありますので、そこにいたる途中で注射針で神経根や肋間神経を傷つけるというような神経損傷を起こすというようなことがあります。
鎖骨の上で第二胸椎の高さで交感神経をブロックした場合(前方法)フォルネル症候がでるというような場合があります。これは星状神経節をブロックした場合と同じような感じで起こるわけですけれども、症状としては縮瞳、眼球陥凹、眼裂狭小、フォルネル症候の三大徴候が現れます。
腰部交歓神経節ブロックとは、下肢の血行改善、発汗停止、交感神経系求心路が関与する疼痛これらを寛解させる目的で行われるブロックです。このブロックは胸部に比べ技術的には比較的容易であり、交感神経斜断効果も数年持続します。神経破壊薬をもちいる場合のほかに、高周波を用いて交感神経をブロックする方法もあります。こちらは安全性は高いのですがアルコールでブロックした場合よりは効果が劣るといわれています。
腰部神経節、腰部神経管の解剖ですが、第ニ第三腰椎レベルでこの交感神経幹を見た場合椎体前側面を縦に走っています。そしてこの神経管は大腰筋の筋膜と腎筋膜後葉とが形成する扁平なスペース(コンパートメント)が存在するのですがその中にあります。そのコンパートメントの中には、脂肪組織、リンパ、血管、疎性結合組織などが神経のほかにも存在します。腎筋膜後葉の前方には、腹大動脈下大静脈が走行します。
腰部交感神経節は、交感神経幹のところどころに4~5個存在します。ただしその場所は一定しておらず個体差があります。
よって腰部交感神経ブロックは、前述したコンパートメントの中に薬液を注入してコンパートメントの中へ交感神経幹、交感神経節、節前節後の交通枝、これらも含めてひろくを破壊するということになります。意味合いとしては星状神経節ブロックと同じコンパートメントブロックとなります。
刺入方法には椎体側面に針先を滑らせて行う傍脊椎法と椎間板を穿刺して行う経椎間板法の2種類があります。
患者の体位としては、側臥位法斜位法腹臥位法の三種類があります。
この中で一般的に用いられているのは、側臥位による傍脊椎法です。
この手技は例えば通常良く行われる部位は第2~第4腰椎でのブロックです。
患者の体位は側臥位とし腰部のくびれに枕を入れ棘突起がベットと平行となるように設定します。
透視下でメジャーや定規などを用いて椎体前縁の中央部と椎間孔上縁を結びます。椎体前縁を透視下で確認してその上下の距離の中点にポイントをとってもう一つは椎間孔の上縁のところにポイントを打ってそこをメジャーや定規などで線で結びそのメジャーにそって皮膚上にマジックで線を引きます。
刺入点は患者の体格にもよりますが、この直剪の延長線上棘突起より外方6センチ~10センチのところにとります。
同様の操作を2~3分節あけてもう一ヶ所刺入点を決めます。刺入点は2ヶ所になります。
例えば第4腰椎レベルで今のようなポイントをとると、そうした場合にはもう一ヶ所は2椎あけて第2腰椎のレベルにというような形で刺入点を決定します。そしてそれぞれの刺入点を局麻します。
X線透視下で局麻薬が肋骨突起を越えて前のほうに流れないように注意しながら針先は肋骨突起の手前までを局麻するようにします。
次に21G直径0.8ミリ長さ10センチのブロック針を用いて、場合によっては15センチというような体格によっては使うのですが、刺入点から椎間孔の上縁を通って椎体の側面まで針を進めていきます。このときも神経根知覚神経に触れますと下肢のほうに放散痛が走ります。その際には針先の方向を変えて刺しなおします。椎体の側面まで針先を進めて針先で骨との接触したとの感覚がえられたら骨との接触を保ったまま椎体をこすりながら椎体前縁まで針先をすすめます。(透視下)
椎体前縁の部分で刺入を止めここで造影剤と局麻薬の混合液を1分節につき3ミリリットル程度注入します。
X線透視下で造影剤の流れを見ながら神経破壊薬の注入の可否を判断します。コンパートメントがここにもありますので、このコンパートメント内に薬液がとどまって下のほうに広がらないかことを確認してそれから神経破壊薬を入れます。もし造影剤と局麻薬の混合液が大腰筋のほうに向かって流れる場合には神経破壊薬をここで注入しますと陰部大腿神経にこの薬液が流れて行ってこの神経にアルコール性神経炎を生じるということがあります。
ブロックの効果は造影剤と局麻薬との混合液注入後数分以内に現れます。造営所見が良好であれば20分の経過観察をして鼠径部を中心とした下肢の知覚障害と運動障害がなければ神経破壊薬を注入します。
局麻薬の効果としては、足先が温かい感じがしてくるとか発汗が減少するとかそういった反応がでればうまく交感神経がブロックされ、知覚や運動の障害がなければそこで神経破壊薬を注入します。分量は、アルコール1分節あたり3ミリリットル注入します。ブロック後は側臥位のまま1~2時間程度さらに体位は自由に2時間程度安静を取らせます。これは胸部交感神経ブロックの場合と同じくらいの時間をとります。
適応ですが閉塞性動脈性疾患、あるいは閉塞性動脈症候群とよばれているようなASO、バージャー病等に適応があります。そのほかレイノー病、レイノー症候群、下肢の反射性交感神経性萎縮症、カウザルギ、多汗症だいたい胸部の交感神経ブロックと同じものに適応があります。
合併症は、知覚神経に神経破壊薬が作用した場合アルコール性神経炎、ブロック針が交感神経節にたどり着く手前で神経根をかすめるということがありますのでおこる神経根損傷、その他血管穿刺、太い血管もあれば細い血管もあるのですが、ブロックの場合血管を刺してしまうということはよくみられます。吸引テストなどを行って血管内に注入しなければ問題はないと思います。射精障害というのもあります。男性の場合、L1レベルの交感神経が遮断された場合には勃起障害が起こるということがあります。

ブロック手技の鍼灸手技療法への応用ですが、これは深層フ部にありX線透視下でないとできない手技ですので、なかなか鍼灸への応用は難しいと思います。


神経根ブロック

神経根ブロックとは、脊髄神経の神経根、またはその周辺へ局所麻酔薬とステロイド剤の混合注入により除痛を図るブロックです。
このブロックは、頚部胸部、腰部仙骨部のいずれにおいても可能です。
神経根ブロックでは、神経根穿刺による放散痛によって(神経根を直接刺すということ)罹患神経根が同定でき、脊椎疾患の責任部位の補助的診断に有用な検査ともなります。すなわち診断的治療になる有用な手段です。例えば腰椎の神経根症の見られる症例で、その責任部位がL5だと推測される場合L5神経根を注射針で穿刺し、放散痛を確認その領域がL5領域であれば高位診断と一致し診断をかねた治療となるわけです。
神経根とその周囲の解剖について… 脊髄から脊髄神経が出るところを根といい前方の遠心性繊維(運動神経)が通る前根と後方の求心性繊維(感覚神経)が通る後根とという二つがありますが、この前根と後根は、X線透視下面でみると椎対と椎弓のつなぎ目のところの椎弓根の直下で合流し椎間孔から出て行きます。そして椎間孔から出たところで、前枝と後枝に分岐していきます。よって神経根をブロックするためには、X線透視下で椎間孔から脊柱管内へ注射針を進めていく必要があります。
神経根ブロックの手技… 頚部でよく行われる下部頚椎の神経根ブロックは、患者を仰臥位とし頭頚部に低めの枕をいれ頚部をやや後屈させます。そして患者には顎を天井に向けるように指示します。刺入点は乳様突起と第6頚椎横突起前結節を結ぶ線上で、目的とする椎間孔直下の横突起前結節とします。示指でこの横突起前結節を触診して、この部位を局麻します。つぎに横突起前結節に向け22G(直径0.7㎜)長さ6センチの神経ブロック針を刺入し骨(横突起前結節)に当てます。その後ブロック針を頭側方向に刺しなおして椎間孔内へ針先を滑り込ませます。上肢への放散痛が目的とする神経根の分節に一致していいればそこで 造影剤を1~2ml.注入します。X線透視下で神経根が造営され血管内やくも膜下腔内に注入されていなければ薬液(局所麻酔薬とステロイド薬の混合薬か、神経破壊薬という場合もあります。)を注入して終了となります。ブロック後安静時間は1時間~2時間となります。
胸部神経根ブロックでは、患者の体位は腹臥位として胸の下に枕を入れます。刺入点の目安は、棘突起から外側3~4cm、ちょうど脊柱起立筋上に体軸方向と平行な線を引きその線と目的とする椎骨の左右の横突起下縁を結んだ線と交差する点を刺入点とします。当然のことですが、これはX線透視下で確認していくということになります。そして横突起の根元の下縁に針先を進めこの部位を局麻します。次に針の方向をやや尾側に変えて椎間孔へ針先を進めて行きます。針を進めていく途中で、放散痛がえられたらここで造影剤を注入して神経根像を確認します。以下の手順は頚椎の神経根ブロックと同様です。
腰部神経根ブロックは、患者の体位によって腹臥位法と、斜位法とがあります。
腹臥位法は、患者は腹臥位になり、腹部に枕をしいて寝ます。こうすることによって腰椎の前彎を減少させます。刺入点は、上下の肋骨突起を外側縁を結ぶ線と目的とする椎骨の左右の肋骨突起下縁を結んだ線との交点とします。この部位で局麻し、胸椎の神経ブロックで用いた程度の同じ太さの針で長さだけ眺めの9cmのブロック針を用い肋骨突起の基部までいったん針を進めていきます。これを刺針深度の指標とします。どれ位椎対に当たるまで距離があるか確認する意味でその深さまで注射針を刺していくということです。ブロック針をやや引き戻し、内尾側方向に刺入すると放散痛が得られます。先ほど指標とした肋骨突起基部から神経根までの深さは1.5cm前後でその間に放散痛が現れるというふうに予測して刺していきます。
次に、斜位法ですが、患者の体位は患側を上にした、斜め45度くらいの角度をとらせます。斜位の角度は椎間関節や椎間孔が透視下で正面から見えるように設定します。真上からX線を照射してちょうど椎間孔がきれいに見えるようにセットします。この方法では、正面に椎間孔が見えているので、X線の入射方向と平行にブロック針をすすめていくと用意に放散痛がえられます。この方法の欠点は、患者の斜位の程度が一定しないことです。患者は疼痛に対する逃避行動から腹臥位方向へと倒れていきやすい為どうしても先ほどのX線の入射角度がずれてしまうということが生じます。患者が動かない限りは、やりやすい方法ということになります。
どちらの手技を用いても、以下の手順というのは、頚椎や胸椎の神経根ブロックと同様になります。
仙骨神経ブロックは、患者の体位は腹部に枕を敷いた腹臥位とし後方から仙骨に向かってX線を照射し、透視下に第一第二仙骨孔が描出されることを確認します。これにたいして直線的に刺入していくことで容易に神経根を穿刺することができます。ようするに第一仙骨孔、第二仙骨孔にむけてまっすぐ針を刺していくということだけの手技になります。第一代に仙骨孔が描出されている角度からでは、第三代四仙骨孔は見えないため、X線の入射方向を変える必要がありますが、その場合は仙骨硬膜外ブロックが安全に代用される為このS3S4の高さではあまり神経根ブロックは実際には行われません。
適用は、多くの脊椎疾患に適用があります。例えば椎間板ヘルニア、変形性脊椎症による神経根障害が一番使用頻度としては高いと思います。そのほか上肢で起こる種々の末梢神経障害、帯状疱疹痛、帯状疱疹後神経痛反射性交感神経ジストロフィー・カウザルギーの治療としても用いることもあります。
合併症ですが、比較的多く起こりやすいのは血管穿刺や血管内注入です。注射針で間違って血管を刺してしまう、血管内へ薬液を注入してしまうようなミスですね、そして、蜘網膜かブロック、これは刺入深度が深すぎる場合硬膜外を通り過ぎてさらにくも膜下腔へと薬液が入ってしまうことがあります。この場合には、痛みがなくなるだけではなくて、感覚が脱出して運動麻痺になりますので安静の時間はかなり長く取らなければならなくなります。しかし、薬が代謝されれば、基本的には症状は消失しますので後遺症というものは残りません。脊髄穿刺という合併症があるのですが、あやまって脊髄を刺してしまうということです。この場合には、当該神経の支配領域に神経根ブロックのときよりも非常に強い放散痛が起こり程度により運動麻痺感覚障害痺れが生じます。これはいわゆる脊髄損傷ということになりますので、後遺症を残すという可能性もあります。神経損傷による合併症は、神経根をめがけて針を刺していますので当然神経を傷つけることがあります。ただ、単発の神経損傷では、ほとんど合併症や後遺症がみられなく、一度に繰り返し穿刺したり、短期間に何度も神経根を穿刺するということで生じることがあります。神経根の頻回の繰り返しの穿刺や脊髄穿刺後に反射性交感神経ジストロフィー、あるいはカウザルギーになってしまうという例もあります。
次にブロック治療の鍼治療への応用ですが、神経根ブロックはX線透視下で行うべき手技であるため一般的に同様のことを鍼治療に応用することはできません。しかし、明治鍼灸大学では、X線透視下での神経根への刺鍼および鍼通電を用いている先生もいます。腰部での神経根への刺鍼及び通電こういったことをされている先生です。あるいは陰部神経を透視下で刺鍼や鍼通電をやっているようです。鍼のような細い針でもX線透視下で確認できるのでやれない手技ではないのですがX線透視というのは、当然のこと被爆のリスクをおうことになるし医療行為ですので当然医師やレントゲン技師の協力が必要となります。なにより被爆のリスクをおうことになりますのでそこまでして鍼治療というのは行うべき治療なのかというのをまず検討する必要が考えられます。これは神経根ブロックでもいえることなんですが、あるいは他の神経ブロックでも言えることなんですが、被爆のリスクを考えると患者にとっても、医療者側からも敬遠されがちな方法なんですね。ですから、近年ではX線透視下ではなくて、超音波を使ったエコーブロックというのが、X線透視下でのブロックの代用として種々の神経ブロックで応用されるようになっています。また、X線透視下ではなくブラインドで盲目的に手技を行う場合には神経根を目標とするのではなくて椎間孔からでたところでブロックするといった方法もあります。これは、傍脊椎神経ブロックといいます。これでしたら、X線透視下でなくてもそれほどリスクは高くありませんし、あるいは鍼灸の鍼でも神経叢を作る前の神経刺激ということになりますが、これは比較的簡便に行える、だいたい鍼の長さが3寸あれば腰なんかでも届くところですので可能な手技かと思います。